女性は妊娠すると、食生活を中心とした生活習慣がガラっと変わります。今までの生活とは違い、お腹の赤ちゃんのことを考えて栄養素を補給する必要があるからです。
妊娠と聞くと、摂取すべき栄養素として「葉酸」が思い浮かぶという方も少なくないでしょう。
今回は、妊娠中に葉酸が必要な理由とその効用、不足することで起こる危険性についてご紹介します。
この記事のもくじ
サプリや妊娠コラムの記事で何度も解説していますが、妊娠したら葉酸!の理由を改めて説明します
ママ向け雑誌や、妊娠についての情報を調べると「お酒は妊娠中は飲んではいけない」であったり、「コーヒーや紅茶などのカフェインは極力控えめに」など、食生活についてのさまざまな情報を目にします。
その中でも、妊娠中に必ず摂取しなければならないものの一つに「葉酸」があります。
では妊娠したら葉酸を摂取しなければいけない理由とはなんでしょうか?
葉酸とは何か?
「葉酸」という栄養素の存在を、妊娠してから初めて知ったという方も少なくないでしょう。実際私もそうで、まさに「葉酸?どうやって摂取するの?」という状態でした。
葉酸とは、ビタミンBの一種です。その名の通りほうれん草などの葉物野菜に多く含まれています。
葉酸は細胞分離やDNAを合成するための材料となります。そのためお腹の中の赤ちゃんが、細胞分離を行い成長する過程で欠かせない栄養素というわけです。
葉酸が不足すると起こること
葉酸が不足すると、「神経管閉鎖障害」という障害を引き起こす可能性が高まります。神経管閉鎖障害は、無脳症や二分脊椎症、髄膜瘤などといった神経系に影響をきたし、生涯に渡って治療やリハビリが必要となることもあります。
葉酸不足のリスク
・無脳症…神経系の上部への障害。脳が形成されていないため、流産や死産の可能性が高いとされている。
・二分脊椎症…神経系の中でも下部が塞がることで発症する。下半身の神経が麻痺することにより歩行障害や運動障害、さらには排尿・排便障害が起こることもある。日本における発症率は1万人に5人程度と言われている。
・髄膜瘤…髄膜瘤とは神経の露出のことを指し、その神経がこぶのように見えることから髄膜瘤と呼ばれている。歩行障害や排尿・排便障害、性機能障害といった下半身の障害がほぼ100%の確率で起こる。髄膜瘤を引き起こす要因は遺伝的なものもあるとされているが約60~70%の割合で葉酸不足だと言われている。
また、葉酸を摂取しないことで染色体(DNA)異常により起こるダウン症のリスクも高まります。ある研究によると、葉酸を十分に摂取することで約70%もダウン症のリスクが軽減されることが分かっていることからも、葉酸はお腹の中の赤ちゃんにとって欠かせない栄養素です。
他にも、妊娠中に葉酸が不足すると体調不良や不具合が増えるとも言われていますが、上記に挙げたものは特に深刻でいかに葉酸不足はリスクであるかがお分かりいただけるのではないでしょうか。
葉酸とつわりの関係性
つわりは、妊婦の約50%~80%が経験する妊娠症状です。
食べ物を受け付けなくなってしまったり、何となくだるい、頭痛やめまいがする、嗜好の変化など人によってさまざまな症状があらわれます。
つわりは病気ではありませんが、自分がやりたいことややるべきことができないこともあり、少しでも症状を和らげたいと思うのは当然のこと。
つわりを軽減させるために必要な栄養素の一つが葉酸です。
妊娠中は貧血になりやすく、特に元から貧血傾向にある方であればなおさらです。さらに葉酸が欠乏すると、正常な赤血球をつくることができなくなります。そのため、貧血や体のだるさがより一層悪化することになります。
葉酸はサプリメントで簡単に摂取することができますが、つわりにより錠剤を受け付けない場合は、葉酸が含まれている野菜や果物をジュースにしたり、薬局などで販売しているサプリメントを飲むためのゼリーなどを試してみてはいかがでしょうか。
ただでさえ妊娠中はホルモンバランスの乱れから精神的にも不安定になりがちです。「葉酸を摂取しなければいけない」と思うことはストレスになってしまうことも考えられます。さまざまな方法を試して、自分に合った無理のないものを選びましょう。
葉酸はいつから摂取すればよいの?
気になる葉酸を摂取すべき時期ですが、最も摂取すべき時期は「妊娠してから妊娠3か月までの間」だと言われています。その中でも特に妊娠4週から6週までは重要な時期でこの時期は、とても速いスピードで細胞分離が行われているため、適切な成長を促すためには葉酸の力が欠かせません。
ただ、葉酸は妊娠が発覚する1か月ほど前から摂取しておきたい栄養素であることからも、「赤ちゃんが欲しいな」と思い妊活を意識したら摂取しはじめることをオススメします。
葉酸の摂取方法
1日に摂取すべき葉酸の量は0,4mgですが。葉酸を摂取するためにまずは何を食べれば葉酸を摂取することができるのか?ということを知る必要があります。
上記にも挙げたように、葉酸をたっぷりと含んでいるものは葉物野菜です。その中でもほうれん草・パセリ・モロヘイヤ・グリーンアスパラ・芽キャベツ…などに多く含まれています。
さらに、葉酸を含んでいるのは野菜だけではありません。肉類からレバー、海藻類から青のりやワカメ、さらには魚介類であるうなぎや煮干し・いくら、納豆やきなこなどの豆類にも含まれています。
ココがポイント
しかし、毎日葉酸だけを意識するには献立を考えたり買い物をしたり…と妊婦さんにとってはストレスとなることも。そこで手軽に葉酸を摂取する方法があります。それは「サプリメント」です。
実は厚生労働省はサプリメントによる葉酸の摂取を勧めています。その理由として、食品・サプリメントの葉酸はそれぞれ異なるからです。
食物から摂取できる葉酸は天然葉酸といいますが、水に溶けやすく火や胃酸の環境に弱いという性質をもっています。そのため、食品を調理して口にすると、実際に体に吸収することができる葉酸量は約50%以下と少なくなってしまいます。
その点、合成葉酸であれば1日に必要な葉酸を摂取することができます。
合成と聞くと何となく「身体に悪いのでは?」と思ってしまいがちですが、実は違ってしっかり効用があります。
手軽さが魅力!妊娠中に必要な葉酸サプリメントの選び方や効果的な飲み方
葉酸は食品からも摂取することができますが、サプリメントであればより手軽に必要量を摂取することができます。しかし、「何でもよい」というわけではなく、サプリメントの選び方や飲み方も重要となります。
葉酸サプリメントの選び方
合成葉酸であるサプリメントが良いと記載しましたが、「どの葉酸でも良いのか」というと、そうではありません。適切な葉酸サプリメントの選び方は以下の通りです。
食品添加物を使用されていないものを選ぶこと
妊娠時に葉酸を飲む際には、お腹の赤ちゃんへの影響も気にしたいもの。葉酸サプリメントの中には、食品添加物が配合されているものもあり、赤ちゃんがアトピーやアレルギー、喘息等になる可能性も否定できません。
原材料を確認し、食品添加物が使用されていないものを選ぶようにしましょう。
ビタミンB12が含まれていること
葉酸とビタミンB12は切っても切れない関係にあります。ビタミンB12もまた葉酸と同様細胞分離やDNAの合成を助ける働きがあるだけでなく、葉酸の再利用を助ける作用もあると言われていることから心強い栄養素です。
さらには妊娠中にありがちな貧血予防にも効果的なので、意識的に取り入れたい栄養素です。
放射能チェックが行われていること
東日本大震災後の原発事故後の影響は現在も続いており、野菜や果物などに食品の放射能(セシウム)が含まれている可能性は否定できません。放射能(セシウム)は、お腹の赤ちゃんの障害や奇形リスクの要因ともなることから、妊娠中から「安全なものを口にする」ことは特に気を付ける必要があります。
食品から抽出された葉酸サプリも同様、放射能(セシウム)チェックが行われているものを選ぶようにしましょう。
ちなみに、葉酸には食品から抽出した天然食品由来の合成葉酸と食品以外から作られた非合成葉酸があります。非合成葉酸というと、何となく「身体に悪いのでは?」というイメージを抱いてしまいがちですが、私たちが日常的に服用する市販薬もまた非食品合成です。
もちろん、「天然」であることにこだわりたいという方は天然食品由来の合成葉酸を選ぶことをおすすめすしますが、葉酸サプリメントを選ぶ際には「天然」だからよいと決めつけるのではなく、一つひとつの葉酸サプリメントに含まれている栄養素であったり成分にこだわってみてはいかがでしょうか。
あなたの体に足りないものを補給する、それこそがサプリメントの役割です。
葉酸サプリメントの効果的な飲み方
サプリメントによっても異なりますが、一般的な葉酸サプリメントは1日2~4粒が用量である場合多く、ついつい1度にその用量を服用してしまいがちです。
効果的に葉酸を取り入れたいと思うのであれば、1日の用量を1回で飲むのではなく、1日数回に分けて飲むようにしましょう。
その理由は、1回で全てを飲みきってしまうと余分な栄養素が尿として排出してしまうからです。せっかく摂取した栄養素を排出してしまうなんてもったいないと思いませんか?
できれば3食の食後に分けて服用するようにした方が栄養素を存分に吸収することができます。
さらに、サプリメントを飲む際には「白湯」もしくは「水」がおすすめです。
よく、服用するのであれば何で飲んでもよいとお茶やコーヒーなどで間に合わせる方もいらっしゃいますが、お茶やコーヒーに含まれるカフェインやタンニンはサプリメントの吸収を妨げる可能性があることからも、避けた方が良いと言えます。
また、飲み忘れてしまうこともあるかもしれませんが、翌日にまとめて服用する…というのはNGです。
葉酸は1日の摂取量が決められており、その量を超えた摂取は体調不良の原因にもなりえます。
できれば毎日数回に分けて飲むことが理想ですが、1日くらい忘れたとしても問題はありません。
飲み忘れたとしても、まとめて飲むことはせず1日の用量を守るようにしましょう。
葉酸を摂取する前に知っておきたい「避けるべきもの」
せっかく葉酸を摂取したとしても、同時期に摂取することで効果を半減させる、あるいは身にならないものがあります。
お酒やタバコなどの愛好品はNGです。そもそも妊娠中にお酒やタバコは控えるべきものと言われていますが、葉酸の吸収も妨げることになります。
薬品の中にも葉酸との相性が悪いものがあり、それらを服用している方は注意が必要です。
また、葉酸と相性の悪い食品もあります。
- キャベツ
- いんげん豆
- オレンジ
などはその一種で、一緒に食べると吸収を妨げることになります。
その他、緑茶やコーヒー、ウーロン茶などカフェインやタンニンが含まれるものにも注意しましょう。
妊娠中の葉酸に限って言えば、妊娠中によくないとされているものは葉酸の吸収にも悪い影響を及ぼす可能性があるということができるでしょう。
妊娠中だけじゃない!?葉酸の重要性
葉酸は妊娠中に取り入れたいものとして知られていますが、実はその効果を最大限に得るためには妊娠中だけ取り入れるのではなく、それ以外の期間も必要です。
妊娠中に限らない、葉酸の重要性とは?
妊活前から飲む大切さ
「葉酸はいつから摂取すればよいの?」でも少し触れましたが、赤ちゃんが欲しいと思いはじめたら、葉酸を飲み始めることが良いとされています。
これは、妊娠する前の段階である「受精卵の着床」に大きく関わります。
通常、卵子と精子が出会い、受精卵となりその後着床することができれば妊娠になりますが、この着床が難しくうまく受精したとしても妊娠しないケースも多いと言われています。
葉酸には、着床するために子宮環境を良くする作用があることから受精卵の着床を期待することができるのです。
また、妊活中には女性だけでなく男性にも葉酸は積極的にとる必要があります。葉酸のもつ造血作用が精子の染色体異常を防ぐことができるというのです。
赤ちゃんは夫婦2人の思いがつながったときに授かることができるもの。赤ちゃんがやってきてくれるまでの準備も「どちらかではなく2人で」をおすすめします。
産後・授乳中の必要性
葉酸は、妊娠中だけでなく産後や授乳中も積極的に摂取する必要があります。
産後は体力も落ちやすく、体調不良になりやすい傾向にあります。特に母乳で赤ちゃんを育てている場合、ママが食べたものがそのまま母乳として赤ちゃんに行き渡ります。赤ちゃんの栄養素ももちろんですが、母乳として栄養素が体から出てしまったママの体は髪の毛が抜けやすくなったり、歯がもろくなったり、貧血になったり…と何かとトラブルが起きやすいもの。
また、造血作用がある葉酸には母乳をつくりだす力もあります。そもそも母乳はママの血液で作られていることからも、この造血作用の重要性が分かるのではないでしょうか。
出てしまった栄養は、意識的に摂取することで元気に赤ちゃんを育てていきましょう!
それだけじゃない!多種多様な葉酸パワー
妊活や妊娠についての効用が表立っている葉酸ですが、実はその力はそれ以外にもたくさんあります。
例えば葉酸には自律神経を整える働きがあり、「うつ」の改善に効果があります。うつの症状に悩まされている人は増加傾向にあり、現在15人に1人はうつ経験者であることが分かっています。
出産に関して言えば、「産後うつ」で苦しむママたちは後を絶ちません。そんな時にも葉酸は気持ちをリラックスさせて落ち着かせる効果を期待することができます。
また、葉酸の造血作用は肩こりや脳梗塞にも効果があると言われています。
妊娠や出産だけでなく、葉酸は私たちの生活になくてはならないものと言えるのではないでしょうか。
妊娠したいあなたへ~葉酸の効果・葉酸を取らないことの危険性を知る大切さ~
これから妊娠したいと思われている方、あるいは妊娠しているかもしれないと感じている方にとって「どの時期に何を摂取するか」が重要になってきます。その一つが葉酸です。
もしも、必要な栄養素である葉酸を摂取せずに赤ちゃんに何かあったとしたら…きっと一生後悔することになるでしょう。大切なわが子をお腹の中で育て、そしてこの世界に生み出すためにはママが何を食べるか・何を摂取するかが非常に重要です。
それだけでなく、葉酸のもつ力は私たちの日常生活に大きく関わってくることからも、男性・女性を問わず意識的に摂取していきたいものです。
現代の高品質なサプリメントは葉酸だけでなく、様々な栄養成分が豊富に含まれています。
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